2015年3月29日

間違いだらけの価値判断

・キズ・色目による価値判断

・産地による価値判断

・値踏み・価格判断


こんにちは、店主の斎藤です。
今回は、「~宝石の価値評価~について」をご紹介します。


宝石の評価基準



●キズ・色目による価値判断
あるTV番組で宝石の鑑定人という人物がエメラルドの評価をしていました。
『 キズがあるので安いです 』 とキズの有無だけで判断していました。
エメラルドという宝石はキズがある物が大半です。さらには、色のせなどの処理が施されており、原石のまま売買される物を最近では、ほとんど見かける事はありません。高評価されるコロンビア産の物でも同様です。
評価基準に色目や輝きの度合いが示されてこそ正しい評価と言えるのではないでしょうか?
濁りのない透明度の高い原石ほど光の三原色により産地特有の色目と輝きが引き出され美しい宝石となるのです。ですからキズの有無はそれに次ぐ評価対象だと私は考えます。
人間の手によって施された色の三原色ではなく、原石の良し悪し(透明度)で変化する光りの三原色による色のりにこそ宝石の価値判断をする基準とするべきでしょう。




●産地による価値判断
インド人のバイヤーが 「 日本人っておもしろい 」 と話をしていました。
『ビルマ(ミャンマー)で買ってきた』 と言って宝石を見せたら 『勝手にビルマ産』 と言うと ...
『ビルマで買ったのだからタイ産・ベトナム産・インド産の物は混ざっていないと思っていて日本人は宝石を見て産地の区別ができない』 というのです。
明らかに色目の違う宝石を見ても、買った場所が産地だと思い込み産地を特定してしまうのです。
情けない話です。
こんな事も言われました。
数十年前に私が手に入れた、インド人の曾曾祖父から受け継がれてきたというサファイアを見せた時の事です。 『 無キズですごくきれいだけれど今までに見たことのない色目です。カシミールですか?ビルマ、それともセイロン産ですか?』 と聞かれ、「 実は鑑定に出したのだけれど産地は特定できない、一つ間違えれば数千万の差が出てしまうのだから今の技術では特定することは無理と言われた 」 と答えると、『 日本でも数百年前は今みたいに東京だの大阪、神戸とは呼ばれていなかったように何百年も前なら大陸で連なる山々も地形の変化があっただろうし、そのころ採れた宝石を今の産地で特定するのは無理ですよね』 と。
確かにマスターストーンとなる宝石がないほど古い時代の宝石に産地を特定することは不可能だろう。今の時代、他にはないほど誰が見ても美しいものは美しいのであって、無キズの宝石となればなおさら産地にこだわる必要はないでしょう。




●値踏み・価格判断
昭和56年頃の話です。ある人が宝石店で買った8ctのサファイアを別の宝石商に見せ、『 このサファイアはいくら位する品物ですか?』 と尋ねたところ、その宝石商は 「 1ct当たり8万円(代金64万円)程度です 」 と答えたそうです。
しかし、その8ctのサファイアはセイロン産のロイヤルブルーでコーンフラワーと呼ばれている高品質の物で200万円以上で買われた品物だったのです。
その人は、『 64万円くらいであるならこの買った8ctを返品してあなたから10ct以上の物を買うからすぐに持ってきてほしい 』 と言われたんだそうです。
ところが、実際その8ctと同等クラスで10ct以上のサファイアとなると、いくつか揃えるのに1~2年もしくはそれ以上かかるうえ、現地へ行って調達しても400万円は下らなかったのです。
ひと口にサファイアと言ってもピンからキリまであるのです。品質によっては大金を出してもすぐには手に入らない物もあります。
その宝石商は、安易に値段をつけたり、安請け合いをしてはいけないとこれを教訓に、二度と同じ事をしないよう反省したそうです。
サファイアは、タイ産、カンボジア産、オーストラリア産等ならスリランカ産の1/100くらいで手に入れることが可能ですがビルマ(ミャンマー)産、カシミール産となると手に入りにくくなっているうえ、値段の付かない物もあります。ましてや10ct以上ともなれば数千万円する事もあります。
同じものは二つとしてないのが宝石です。見利きできない者が簡単に値踏みをするものではないというのが昔からのルールです。


《笑い話》 20才くらいの若い女の子達の会話です。


A子; ワー! この真珠すごく綺麗。本物かな?偽物かな?
B子; 偽物に決まってるやん。本物ならもっとキタナイモン!!
C子; そうそう! こんなに綺麗なら絶体偽物やわ。


そんな事はありません!
真珠は宝石の中でも五大石の一つに入ります
本当に綺麗で価値のある真珠なら七色に光り輝くのですよ!!





(本文ここまで)

今回のまとめ

宝石に携わっている人全てが宝石に詳しいわけではありません。本当に美しい宝石を実際に手に取って見たことがある人などほんの僅かでしょう。
悲しいことですが、実際そのような機会も場所も今ではほとんどないのが現状です。
私は、宝石業界がこうなる事を危惧し、見本と成り得る宝石をできる限り集めてきました。
ちまたで言われている事を鵜呑みにするのではなく、ご自分の目で確かめに来て下さることを願ってお待ちしております。
【 NHK ぐるっと関西 おひるまえ 】平成27年4月6日(月)AM 11:30~(放送予定)
店主:齋藤を取り上げてもらっています。視聴可能地域(近畿)の方は是非ご覧下さい



今回はここまで

1 件のコメント :

  1. はじめまして
    宝石に興味があり、いろいろ探していたらこちらに辿り着きました。
    ブログもすべて拝見致しました。
    いろいろと勉強をして宝石の仕事をしたいと思っております。
    ブログ更新されていないのですね。大変勉強になるのでブログ再開を待ってます。

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