2012年3月29日

宝石業界いろはの「い」 ~世界と日本の違い(1)~


・日本の宝石業界は仲間外れ

・資産価値のある宝石とはジェムのこと

・日本市場の宝石はランクが低くて海外市場の宝石はランクが高い



こんにちは、Web担当の方の斎藤です。
早速ですが今回は、世界の宝石業界と日本の宝石業界がどれだけ違うのか、
何が違うのかをご紹介します。
当店で扱う宝石(ジェム)に関しても基本となる話になると思います。


世界にあって日本にない宝石の違い

唐突ですが、実は、日本の宝石業界は世界の宝石業界から、
とてもとても言葉では言い表せないほど馬鹿にされています。

馬鹿にされているとは、「本当に価値のある宝石は売ってもらえない」ということです。
ここで言う本当に価値のある宝石とは、つまり、「資産価値のある宝石」のことです。
皆さんはお手持ちの宝石を担保、つまり引き換えに、
銀行からお金を貸してもらうことができるでしょうか?
ほとんどの方は、まず無理だと思います。
なぜならお金にならないからです。

ところが、世界、こと宝石業界の主流はヨーロッパですが、
海外では当然のように宝石を担保にお金を貸してもらえるのです。
なぜならお金になるからです。
と言ってもどんな宝石でもいいわけではありません。
宝石には3つのランクのようなものがあって、
それぞれジェムクオリティ・ジュエリークオリティ・アクセサリークオリティといいます。
ざっくり説明すると以下のような感じです。

ジェム:超特級品
ジュエリー:高級品
アクセサリー:一般品

詳しくはまた、おいおい記事にしていきたいと思います。

そして、担保にできるのは

資産価値があるジェムクオリティの宝石、つまり「ジェム」だけです。


「資産価値がある」とは、どういうことなのか。
具体的に言うと、たとえば30年前にそのジェムを100万で買ったとして、
今それを売った場合、その値段は必ず100万以上になっているということです。
それが存在する限り、価値は決してマイナスにはなりません。
というのも、ジェムはほとんど産出されませんので、すでに世に出ているジェムは、
新たに表面に傷などつけられず、そのままの形で現存する限り、
稀少価値があるとして、ほぼ永久にプレミアがつくのと同じだからです。

「プレミアがつく」というのは、わかりやすく言うと、オークションと同じです。
たとえば、モナリザは世界で唯一ですが、それを売るとなると、
欲しがる人は世界中にたくさんいますよね。
それと同じで、ジェムも需要に対して供給量が絶対的に少ないということです。
1つしかない物、あるいは数が少ないものに欲しがる人が群がれば、
それだけその物の価値(値段)は上がります。

そういうわけで、海外の銀行は絶対に損をしないことがわかっているから、
ジェムを担保として認めているのです。

日本でそのような銀行がないのは、そもそもジェムを持つ人が日本にほぼいない上に、
日本の宝石鑑定機関では、宝石の価値を決定する基準が海外ほど徹底していないため、
本当の資産価値がわからないからだと思います。
そもそも日本では、宝石が財産になるなんて、あまり一般的ではない考えではないでしょうか?


「私の宝石、前に下取りに出したとき、半額以下でがっかりしたわ」という方、
それは残念ながら、あなたのお手持ちのそれはジェムではなく、
アクセサリークオリティかそれ以下のもので、資産にはなり得ない宝石だったからなんですよ。


ちなみにジェムクオリティの宝石は、
1tトラック7000台分の「宝石(土は除く)」を採掘して、
ようやく0.2キャラットの粒が一つ採れるかどうか、 というくらいの稀少さです。
1キャラットは0.2gです。

一般の装飾用であるジュエリークオリティの宝石は、
1tトラック70台分で0.2キャラットが1粒採れるかどうか、という割合です。

そして、アクセサリークオリティの宝石は、
ジェムクオリティとジュエリークオリティ以外の宝石すべてのことですから、
ジェムクオリティの宝石がいかに稀少であるかが、ぼんやりわかって頂けましたら幸いです。

つまり、

「資産価値のある宝石」・「財産になる宝石」とは、ジェムクオリティの宝石のことで、
ジェムはその稀少性ゆえに年月を経れば経るほど価値が上がるから財産になる
ということです。
そして、世界にあって日本にない宝石とは、ジェムのことです。
種類のことではなく、クオリティのことだったんです。


今回はここまでにして、次回は「なぜ日本にジェムがないか」をお話ししたいと思います。

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